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ヴィジタンディーヌ – Visitandine de Nancy

───修道院の回廊に漂う、
焼きたてのバターと蜂蜜の香り。

祈りとともに日々を紡ぐ暮らしのなかで、
人々の心を慰めるように焼き続けられた、小さなお菓子があります。

芸術文化が花開く、17世紀フランス・ロレーヌ地方。
古都ナンシーの「聖母訪問教会」(L’order des Visitandines)に仕える、修道女たちの手によって生まれた「ヴィジタンディーヌ」。

当時、教会に飾られる宗教画を描く際に、絵の具の材料として「卵黄」が大量に使われました。

余った「卵白」を活かし、アーモンド、砂糖、蜂蜜、バター、小麦粉というシンプルな配合から形づくられたのがヴィジタンディーヌです。

無駄を出さないレシピには、
質素と倹約を尊ぶ「清貧の精神」が息づいています。

修道女たちの厨房で生まれたヴィジタンディーヌは、
その暮らしぶりを映すように、控えめながら滋味深く、澄んだ香りを放ちます。

焦がしバターの香りが 回廊を満たし、
アーモンドの余韻が、祈りと沈黙のあわいを包む。

信仰の世界で生まれた───祈りの焼き菓子。

時を超え、ヴィジタンディーヌはいまも、ロレーヌの人々の記憶に生き続けています。

Stained glass of Visitation of the Virgin Mary to her pregnant cousin Elizabeth.

修道院に生まれ、
パリで花開いた焼き菓子───。

───時は移り、19世紀末パリ。

証券取引所のほど近くサン・ドニ通りの一角で、ヴィジタンディーヌは、誰もが知るあの有名なお菓子として生まれ変わることとなります。

ロレーヌの修道院で作られてきたヴィジタンディーヌに着想を得て、菓子職人ラスネが、台形の金型で焼き上げることでそれを考案したと言われています。

Traditional French pastries in molds – financier cake after baking.

「金の延べ棒(金塊)」に見立てた、小さな黄金色のバターケーキ

産業革命後のパリで、実用的でモダンなその美意識は好ましく受け入れられました。背広を汚さず口にしやすい形が、金融街で働く人たちに喜ばれたという逸話が残っています。

───フィナンシェ(Financier)。

仏蘭西語で「金融家・お金持ち」を意味する新しい名前で呼び始められたこのお菓子は、都市生活を営み始めた人々のあいだで、急速に人気を博すこととなります。

修道院の静謐さから、
都市のモダンな華やぎへ───。

ヴィジタンディーヌは、こうして洗練されたパリのお菓子へと変貌を遂げたわけです。

修道女たちの手を離れ、パリの街角へ。
やがて「フィナンシェ」は海を越え、世界中で愛されるお菓子へと姿を変えていきました。

しかし───その源流にはやはり、修道院の物語が息づいています。

素朴でありながら、どこか静謐なぬくもりを宿すこのお菓子が、時代とともにかたちを変えながら、人々に愛され続ける理由はそこにあるのかも知れません。

こだわり
Our ruleing Passion

Égliseは、フィナンシェの源流にあるこのお菓子を、もう一度、現代に甦らせたいと願いました。

バターリッチで贅沢な焼き菓子が主流になった今こそ、修道女たちの清らかな声に、耳を澄ませたい。

修道院の静けさと、パリの街角のざわめき。
───その両方を抱きしめる小さな物語。

私たちのヴィジタンディーヌは、その原点に敬意を込め、ロレーヌ地方の伝統的なマルグリット型で焼き上げます。

───花を象る可憐な姿は、
まるで祈りの手に携えた花束のように。

焼きあがるたび、ひとつひとつに、修道女たちが込めたやさしい祈りの時間が重なります。

♰ヴィジタンディーヌ(ナンシー)
Visitandine de Nancy
350yen +8%tax(378yen税込)

───陽だまりを閉じ込めた、黄金色の焼き上がり。

外は香ばしく、中はしっとり。
スペイン産アーモンドのやわらかな香りと、卵白の軽やかな口どけが織りなすやさしい余韻。

それは、修道院の回廊に射し込む午後の光に身をゆだねるような、静かな安らぎを呉れるはずです。

古都に思いを馳せる
───伝統の「ナンシー(Nancy)」

専門店ならではの深みを纏う
───「ショコラ(Chocolat)」

そして季節ごとに、広島を代表する柑橘「レモン」や、出会いと別れを彩る「桜」など華やかなバリエーションを展開します。

花がめぐるように、色とりどりの味覚が新たな物語を紡ぎ出すでしょう。

クラシックでありながら、
今を生きる女性のライフスタイルに寄り添う、端正な美しさを備えたヴィジタンディーヌ。

修道女たちの物語を背景に、現代の感性に沿って丁寧に磨き上げたいと思います。

保存料・香料・着色料不使用
 北海道産よつばバター、スペイン産アーモンド・マルコナ100%使用。

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忙しない日常の中で、
ほんの束の間、自分自身を取り戻すためのお守り。

私たちがこのお菓子を現代に甦らせるのは、ノスタルジーではありません。

───ヴィジタンディーヌ。
それは「フィナンシェの母」と呼ぶべき存在であり、時を超えて人々を魅了し続ける、祈りのお菓子です。

日々忙しく、時に息をすることさえ忘れてしまう、
現代の女性たちへ───。

優しい祈りが込められたお菓子が、
そっと心を解きほぐし、自分を大切にするための一片(ひとひら)になればと思います。


ご予約・ご注文について

近日販売予定。
製造量が限られる為、品切れの場合はご了承ください。


修道院の静けさと、パリの華やぎ。
過去と現在、精神と感性が響きあう一片の花。

───修道女たちが繋いだ祈りのお菓子。
ヴィジタンディーヌが、あなたの日常に、静かな安らぎを添えますよう。

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