
かつて教会や修道院は、布教や祈りの場であると同時に、医学や薬学、植物や鉱物学など、現代における病院や研究機関の役割も担っていました。
滋養や治療の効果を得るための蜂蜜やハーブ、修道女たちの手によって作られたパンやお菓子、自給自足の為に醸すビールや、修道士たちの汗を吸って開墾されたワイン畑──。

21世紀の現在でも、チーズやお酒をはじめ、アクセサリーや天然のフレグランスなど、様々な特産品が世界各地の修道院で作られています。日本では、北海道北斗市にあるトラピスト修道院で作られる発酵バター、またそれを使ったクッキーが函館のお土産としてよく知られていますよね。
古くより欧州では、修道院がビールの生産に大きく関与しており、主にベルギーの修道院から委託を受けたブルワリーによって作られるビールは「Abbey アビイ」と呼ばれています。
世俗を離れ、厳しい戒律のなかで祈りの日々を送る修道士たちにとって、労働自活は重要な課題です。天地の恩恵にあずかり、労働を通して社会に寄与する多くの品を産み出してきました。こうした活動の成果は、修道院の存続を支える基盤となっており、また余剰利益は公益のために使われています。

Abbey=修道院
つまりそれは「修道院のビール」を意味します。

修道院で作られるビールとしては「トラピストビール」がよく知られています。
トラピストについては別の機会にまた詳しく説明しますが、トラピスト修道会(厳律シトー会)の修道院で醸造され、1962年に定められたITAの定義を満たすものだけが、現在「トラピストビール」を名乗ることができます。
例えば、ベルギー南部ワロン地域にある「スクールモン修道院」で造られるエール(上面発酵ビール)は、チーズとともに「シメイ (Chimay)」の名称を冠し、トラピストを代表する存在です。
アビイビールとトラピストビールを合わせ、カトリック修道院と繋がりを持つビールは「ホーリーエール」と総称されます。2011年の Hilde Deweer 著『All Belgian Beers 』によれば、ベルギービールの総銘柄数は1,136。その内アビイビール145銘柄、トラピストビールは15銘柄とされています。これらは、ビールの種類をカテゴライズする際のジャンル名としても使われています。

Égliseのお菓子とペアリングをお楽しみいただけます

キリスト教とビールの結びつきが強まったのは 6世紀の初めごろ。当時のヨーロッパの衛生環境で、生水は人々が安全に飲めるものではなく、栄養価の高いビールは「液体のパン」つまり神の恵みと考えられていました。
修道院の活動において、ビールはとても重要な役割を果します。皇帝や領主といった賓客には上等なビールがふるまわれ、修道士たちは水より安全なビールで渇きを潤しました。「レント」と呼ばれる四旬節の断食期間でもビールだけは飲むことを許されていたといわれます。
※補記:四旬節(しじゅんせつ、英語: Lent)は、復活祭(イースター)の前にイエスの荒野での試みや十字架の受難を祈念する「40日間」。カトリックでは、四旬節は復活祭の46日前にあたる灰の水曜日に始まり、主の晩餐(聖木曜日)の夕べのミサの前までが四旬節とされている。
「旅人はキリストである」との教えから、貧しい巡礼者にも宿泊場所や食事を提供するため、大量のビールを備える必要があります。このため修道院には醸造所が設けられ、醸造の知識を持つ者が院長に任命されました。
また、製造のみならず、中世の修道院ではビールの栄養価や腐敗抑制などの醸造学研究も行われました。グルートに代わって、ホップを加えるようになったのも修道院が始まりで、12世紀にドイツ・ビンゲン近郊のルペルツベルク(Rupertsberg)女子修道院で、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによって初めてビールにホップが使用されます。彼女はホップの役割についての記述を残しただけでなく、醸造に携わる後進の育成を行いました。こうして品質が向上したビールは、修道院にとって重要な財源となっていきます。

18世紀後半、ナポレオンによる修道院への攻撃と、それに続く教会勢力の解体により醸造が困難となった時期を乗り越え、1862年には、前述の「シメイ」より修道院でのビール造りが再開されます。
現在の形でのアビイビールは、1946年にシント・ベルナルデュス醸造所が、ウェスト=フランデレン州のシント・シクステュス修道院との契約に基づいて製造した「St.Sixtus(シント・シクステュス)」が始まりとされています。

歴史のルーツを辿りながら、お菓子やお酒の知識や技術を研究し、現代の嗜好に沿った新しい味覚体験を生み出す──。Égliseの掲げる主題に沿って、ベルギービールの歴史に触発された新しいトリュフチョコレートが誕生しました。

バレンシア、セビリアオレンジの果皮と、天然のハーブやスパイスを使って香りを抽出したミルク・トリュフチョコレート。
世界的な人気を誇るベルギービールと、それを産み出した「Abbey アビイ」すなわち修道院のイメージや歴史的背景をモチーフとして創作しました。
センターパートには、ローストした胡桃と、粉砕したホワイトセージを混ぜ込み、食感と香りにアクセントを。古くからベルギーで親しまれるエリクサー(リキュール)が秘密の隠し味。さらなる複雑さを加え、トリュフに神秘的な奥行きを与えます。
カカオを始め、あらゆる材料の価格高騰が著しい昨今ですが、私たちがお届けしたいトリュフの世界観と美味しさを表現するためにふさわしい素材を吟味し、追求したいと考えます。
主要材料となるクーベルチュールは、「ガナッシュ Ganache with a Knife」と同じく、仏蘭西の名門「ヴァローナ」より選択。カカオ比率 35%の上品なミルクチョコレートをベースに、数種類のスパイスを配合して使用しています。

♰アビイ 修道院トリュフ(3個入)
Abbey Belgian Truffles 3pcs in a Box
1,300yen (1,404yen 税込)
※パッケージは変更の場合があります。
※数に限りがある為、品切れの場合はご容赦ください。
‘25.2.8 lot ※First
ミルクチョコレートにホワイトをブレンド×2.25recipe
抽出1回目、オレンジ果皮、コリアンダーシード、
抽出2回目、ホワイトセージ ※香気成分のみ抽出
‘25.2.25 lot ※改訂
流動性を高めミルクチョコレート2種類をブレンド×2.25recipe
抽出1回目、オレンジ果皮、コリアンダーシード
抽出2回目、ホワイトセージ(粉砕)加熱時に加え、漉さずに投入

ベルギービールに触発され、私たちの掲げる主題に沿ってヨーロッパ修道院の文化的背景から誕生したトリュフチョコレート「Abbey アビイ」。

Église らしさが込められた印象的なトリュフです。
最高級のカカオと、天然の素材が育む新しい味覚体験。
そして、キリスト教文化のなかに拓かれたお菓子とお酒のルーツを紐解き、未来へと繋ぐ、果てしなき物語を皆さまと一緒に──。是非ご賞味ください。
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Insetagram #アビイベルジャントリュフ
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Église エグリス お菓子と生命の水
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