
"ペルーの山中で見たその植物は、ツタのようにそこら中に絡みついていた。ツタの中に美しく咲き誇る花々や、ぶら下がる果実の風景はとても美しいものだった。花は白い薔薇の様にも見えたが、その形はまるで「Passion of Jesus Chris(キリストの受難)」を象徴するような形状をしていた。"
– Nicolas Monardes「西インド諸島からもたらされた有用医薬(植物・ハーブ)」
※スペイン人医師による1569年の出版物。granadilla(=passiflora)に言及した論文が掲載

安土桃山時代、キリスト教の伝来とともに日本にもたらされ、時計の針や文字盤のように見えるユニークな花のかたちから「時計草」と呼ばれるようになったこの植物。
英語では Passion flower と呼ばれ、その果実は パッションフルーツ Passion fruit という名前で一般的に知られています。
ご存じのことかも知れませんが、この場合「passion」は「情熱」ではなく、十字架を連想させる花に由来する「キリストの受難」を意味しています。
パシフローラ Passiflora とは、トケイソウ科トケイソウ属 に分類されるこの植物の総称で、狭義には、学名: Passiflora caerulea という種がパッションフルーツに該当します。
パシフローラは、ラテン語「Passi : キリストの受難」に由来し、キリストの受難を象徴する花として、カトリックの復興を進め、アメリカ新大陸、アジアなどの新天地で積極的なカトリックの布教活動を行ったイエスズ会 宣教師たちの手により世界中に広まりました。
16世紀後半、スペインの修道士 Jose De Acosta は、著書 Historia Naturally Moral de las Indias (1590) において次のように述べています。
「この花は称賛に値する特徴を揃えている。キリスト磔のシーンに出てくる、磔にした釘・十字架・棘の冠・鞭そしてキリストの傷を思わせるのだ。すべてのパーツがそれぞれ同化する事なくひとつの花の中に存在している。花を観察しその特徴を見いだすにあたり、受難のシーンを思い描いては私の信仰心も少々痛んだのものであった。」
かつて、アッシジの聖フランチェスコ(1181年〜1226年)が夢に見た「キリストが磔になった十字架の上に美しく咲く花」とは、まさににこの花のことであろう。
大航海時代以降、南米大陸でこの植物を目にしたキリスト教の宣教師たちはそう確信し、パシフローラを携えて派遣される国々に渡り、布教活動を行ったと伝えられます。


16世紀~17世紀にかけて、パシフローラは多種多様な専門家によって盛んに研究が行われ、新たな品種の発見と記録がなされます。
欧州の修道院をはじめ、とりわけ医療の分野に文献が多いのは、この植物が薬効を持つハーブとして注目されていたからだと考えられるでしょう。
実際のところ、この時代のパシフローラの植物画には、キリストの受難とのつながりを強く感じさせるものが多く見られます。そのモチーフが、ローマ教皇 パウルス5世(Paulus V、1552年~1621年)への献上品のテキスタイルにも用いられるなど、キリスト教文化に深く取り込まれながら、人々に認知されていく過程が伺えます。
現代では一般的に、パシフローラの果実が実る品種を総称して「パッションフルーツ」と呼びます。正確には品種によって果実の色・香り・味が変わってきますが、世界中の国々で、様々な呼び名をもって愛される南国フルーツの代表的な存在になっています。

さて、寒さも次第に和らぎ、夜風にも春の匂いが混じり始めるこの季節。Égliseでは 夏に向けた季節限定のトリュフチョコレートの製造を始めました。

3/4 新発売
♰パシフローラ 時計草トリュフ (3個入箱)
Passiflora Truffles 3pcs in a Box
1,300yen +8%tax
パッションフルーツの果汁を濾し、カカオ比率 45%に調整した 仏ヴァローナ社のクーベルチュールと乳化させ、爽やかでユニークな香りをチョコレートに封じ込めます。
加えて、もう一つの特徴的な個性である「種」を残した果肉は、リキュールでジュレ状に加工し、食感のアクセントに混ぜ込みました。
トップには、パッションフルーツとの素晴らしい相性を示す南国のハーブである ハイビスカスと ローズヒップをあしらい、妖艶な表情をトリュフに施します。
カカオの持つ豊かな味わいに、華やかな彩りを与えるパッションフルーツ。南国の静かな夜を想わせる、大人のためのスウィート・トリュフです。
※パッケージは変更の場合があります。
※数に限りがある為、品切れの場合はご容赦ください。

スペインやポルトガル、仏蘭西など、カトリック国王の庇護を受け、積極的な海外布教を展開したイエスズ会。しかしまた同時に、彼らは植民地の開拓の協力者であったという暗い側面を持ちます。パッションフルーツは、コーヒーやカカオ、タバコなどの嗜好品と同様に、こうした歴史的な背景を持ちながら、キリスト教の布教活動にともなって拡散が始まりました。
現代では、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、インド、スリランカ、台湾、マレーシア、インドネシアなど、世界中の熱帯・亜熱帯地方で栽培されています。明治以降、日本でも沖縄、奄美、鹿児島、小笠原などで本格的な栽培が始まり、食生活や嗜好の多様化により、近年はマーケットでも目にする機会が多くなりました。
しかし、世界の生産量のほとんど(約九割)が加工品としての利用にとどまり、濃縮還元ジュースや菓子類の香りづけを通じて耳にしたことはあっても、何となくイメージする程度の存在にとどまっている方も多いのではないでしょうか。
アメリカ大陸の亜熱帯地域を原産とするパッションフルーツとカカオは、原産地を同じくし、似た生育環境を好む果実であることもあってか、驚くほどの相性の良さを誇ります。
世界的な賞賛を集めるレストランのシェフ、パティシエ / ショコラティエ、そしてバーテンダーなど、創造的な職人たちの手によって、大胆なアプローチが施された品が生み出されています。


キリストの受難を象徴する トケイソウ属 の学名を拝借して命名した、甘酸っぱいトロピカルテイストのチョコレート「パシフローラ(Passiflora)」
正負の記憶を含有し、幾百年の歴史を携えて「時計草のトリュフ」が現代に刻み始めたチョコレートの新しい記憶を、紳士淑女の皆さまに、ぜひご体験いただければ幸いです。
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Insetagram #パシフローラトリュフ
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