マジパンを使った、スペインを代表する伝統菓子のひとつ、ウエソス・デ・サント。
キリスト教圏での”お盆”にあたる11月初旬「諸聖人の日」の頃、ブニュエロとともに、現地のペストリーショップの店頭には、たくさんの「聖人の骨」が並ぶ光景が見られます。
マジパンとは、アーモンドを使ったプリミティブなお菓子。
1000年以上にも遡るその起源は、シチリアと、アラブ諸国の修道院にあるという説があります。
ヨーロッパには、8世紀にイスラム教徒がイベリア半島を侵略した際に”南”から、あるいは巡礼者や十字軍を通じて”東”から齎されました。また、マジパンの最も古い記録はギリシャにも確認されており、それはアーモンドペーストと蜂蜜で作られたデザートでした。
聖人の骨(ウエソス・デ・サント)は、円筒形で、その名前の通り「骨」のような外観をしています。通常は、専用のめん棒で表面を加工し、卵黄のペストリークリームを詰め、新鮮さを保つためのグレーズの被膜をかけます。この工程によって独特の仕上がりが生まれます。
このペストリーの見た目と名前の両方が、死者が地上に戻ってくる時期であることを思い出させます。「聖人の骨」を食べることは、亡き人への愛情を深く象徴するとされ、時として、そのシンボリックな外観は「聖遺物」を彷彿とさせます。
※聖遺物 = 聖遺物とはカトリック教会におけるイエス・キリストや聖人の遺品のことで、彼らの遺体をはじめ、生前に接触した物品や墓にまつわる物を指します。古来より聖遺物は奇蹟を起こすと考えられ、その崇敬が最も盛んとなった中世には、奇蹟を求めて人々が教会や修道院に殺到しました。聖遺物は高額で取引されたため、教会への略奪行為や、偽造品の横行という暗部を伴いながらも、これらを飾り祀ることが、巡礼のブーム、そしてロマネスク様式というキリスト教美術発展の一翼を担いました。聖遺物を保管するための箱やフレームのことを「聖遺物入れ(Reliquaire ルリケール)」といいます。
この伝統をスペインに成立させたのは、ベネディクト会の修道士たちでした。万聖節(=諸聖人の日)と重なる ケルト人(異教)の祝祭を民衆に忘れさせるための手段だったという説です。一方で、このお菓子が作られる季節が、マジパンの主原料であるアーモンドの収穫時期と一致するのは、とても興味深いことです。
Église では、スペイン産の最高級アーモンド「マルコナ種」100%のマジパンに、広島県産のレモンピールで爽やかさを加え、蜂蜜と、純水で水分量を調整しながら、ひとつひとつを手作業で丁寧に成形します。フィリングには、混じりけのない新鮮な卵黄のペストリークリームをたっぷりと詰めてお届けします。もちろん、最後の仕上がりを左右するグレージングは欠かせません。
シンボリックで情感たっぷりな、スペインを代表する伝統的なお菓子「聖人の骨(ウエソス・デ・サント)」。巷にあふれる様々な情報を追わず、本場スペインの古いレシピに材料と製法のルーツを真っすぐに求めて、本格的な味の再現に取り組みました。
Égliseならではの、他では味わえない、西洋の伝統的な秋の味覚をぜひご賞味ください。
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